「ブッチョーヅーラ先生」
あるところに
ブッチョーヅーラ先生という者がいました。
ブッチョーヅーラ先生は
小学校低学年の生徒達に向かって言いました。
「皆さん」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「A君、いい返事です」
「乙、お前は黙りなさい」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「今から大事な事を言いますよ」
ブッチョーヅーラ先生は
仏頂面で抑揚なく言いました。
そして続けます
「人のいいところ」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「それを」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「一つは見つけましょうね」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「そして」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「それによって」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「相手を」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
「敬いましょう」
「ハイ先生!」
「うーんとうーんと」
生徒達は
ブッチョーヅーラ先生の話を
それぞれなりに真剣に聞いていました。
しばらく
教室内はとても静かな時が流れました。
その様子に満足した
ブッチョーヅーラ先生は
ゆっくり
2度
小さく頷きました。
そんな時でした
A君は元気よく言いました。
「先生!僕のいいところは何ですか?」
ブッチョーヅーラ先生は仏頂面で
頬を撫でる風の様に
やさしく応えました。
「ハッキリ発言の出来るところです」
「ハイ先生!」
A君は無邪気な笑みを浮かべました。
今度は乙君が発言しました。
「僕はどこですか?」
「しっかり考え、理解することに優れているところです」
「うーんとうーんと」
乙君は無邪気な笑みを浮かべました。
そして
乙君は続けて言いました。
「じゃあ、先生のいいところはどこですか?」
乙君は言い終えると
へっとハニカミました。
すると
ブッチョーヅーラ先生も
へっと
ハニカんだとさ。
おしまい